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大阪地方裁判所 昭和54年(わ)6413号 判決

本店

大阪市東区船越町二丁目四八番地

商号

株式会社藤忠

右代表者代表取締役

藤田庸右

本籍

奈良市鳴川町三四番地の一

住居

奈良市登美ヶ丘三丁目一番三号

会社役員

藤田庸右

昭和一一年二月九日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官飯田穰出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社藤忠を罰金四、五〇〇万円に、被告人藤田庸右を懲役一年二月に各処する。

被告人藤田庸右に対し、この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社藤忠は、大阪市東区船越町二丁目四八番地に本店を置き、商品取引業を営むもの、被告人藤田庸右は、同会社の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるが、被告人藤田庸右は、右会社の業務に関し法人税を免れようと企て、同会社の昭和五二年四月一日から昭和五三年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が六一二、七四九、四六九円で、これに対する法人税額が二三七、四六〇、二〇〇円であるのにかかわらず、架空の売買損を計上するなどし、よつて得た資金で架空名義により株式を取得するなどの行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、昭和五三年五月三〇日、大阪市東区大手前之町一所在の東税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一四二、八三〇、二〇七円、これに対する法人税額が四九、五〇五、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一八七、九五五、二〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人に対する収税官吏の質問てん末書九通

一、中野多計志、伊原金三郎、青山春太郎、伊藤幹生(謄本)の検察官に対する各供述調書

一、藤田登喜男(二通)、中野多計志(七通)、鷺原知弘、藤田博史、伊原金三郎、青山春太郎、伊藤幹生、久保田真知子、近藤周平、梅木秀吉、久保操、小川賢治、濱谷達雄、中嶋典夫に対する収税官吏の各質問てん末書

一、収税官吏作成の査察官調査書一四通、現金預金有価証券等現在高検査てん末書二通及び現金預金有価証券等現在高確認書

一、中野多計志、赤松源太郎(二通)、上柳潔作成の各確認書

一、収税官吏作成の脱税額計算書

一、東税務署長作成の証明書四通

一、登記官作成の登記簿謄本

一、株式会社藤忠作成の証明書

一、押収してある昭和五二年度重要書類関係綴一綴(昭和五五年押第三七七号の一)、昭和五二年経費明細帳一綴(同号の二)、売買手合メモ綴一〇綴(同号の三)、昭和五二年度分手合書一綴(同号の四)、昭和五二年度売上帳一綴(同号の五)、和解書綴一綴(同号の六)

(法令の適用)

法人税法一五九条(被告人藤田庸右について懲役刑選択)、一六四条一項、刑法二五条一項(同被告人について)

(裁判官 森下康弘)

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